参加している人たち

とはいえ、どんな人が参加しているのでしょう?

参加している人たちに、
「参加した感想」
「参加するようになったきっかけ」
「参加していてのエピソードや感じる事」
などを書いてもらいました。


~Episode~

 今日、すごく嬉しい事があったんです。
 昨日おにぎり作っている時にUさんっておじちゃんが最近路上生活をやめて施設に入った事、今日仕事の面接を受ける事を教えてくれて、ごはんが炊きあがるまでの間にふざけて面接の練習を2人でしてたんです。
 そしたら、今日の面接終わってすぐに合格が決まった様で電話をかけてくれて。
 彼の声はいつになく明るくて生き生きしていたように思います。
 「決まったよー!」って。
 自分でも不思議なくらいうれし涙がでました。

 いつか、「この活動をしていて嬉しい事」って聞かれた時には、いきなりの問いかけにちゃんと答えられなかったけど、今日のあの電話の瞬間は間違いなくその嬉しい事、の1つでした。

 昨日今日はとても幸せな気持ちで、心がほっこりしています。


(2014年11月)



新宿連絡会に参加するようになって

   病院勤務していた頃、時折路上のおじさんが救急車で搬送されてくることがありました。その方々への一部のスタッフの対応や処置等に、全てではないですが疑問を感じる時があり、それが心に残っていました。病院としても経営していかなくてはならないし、自分もそれに属しているからこそ生活できているのも承知しています。でも医療で差別があって良いのか?という想いは消えませんでした。そのようなことをきっかけに、路上生活者に関わる仕事をしようと、現在の職場で訪問看護師として働くようになりました。
職場は元々『新宿医療班』と縁があり、勤務中チラホラ聞いていた『新宿医療班』という言葉、担当している患者さんもそこから繋がったらしいし、一度見てみようかな、という軽い気持ちで参加していた職場の同僚に頼み、見学させていただきました。
行ってみるとスタッフが少人数であたたかみがあり、アットホームな感じで良いじゃないですか!と好印象でした。またおじさんとスタッフの信頼関係も出来ており、そこに新宿での活動の歴史を感じます。

   現在、参加させていただくようになって2年程になります。まだまだペーペーで、周りのベテランスタッフさんや新宿医療班と付き合いの長いボランティアさんやおじさんたちから色々と教わりながら、何とかやっています。
名前までは分からないけど、知った顔のおじさんがいらっしゃると、1か月無事だったんだなぁ、とホッとします。
これからは、おじさんたちに名前を覚えてもらおう、と密かに目標をたてていたのですが、ここで書いてしまったので密かでなくなりました。まずは「毎月来ているからちょっと聞いてみよう」等と思って下さればいいな、と思っています。
20139月)



新宿夏祭りに初めて参加して

それまで支援の必要な人に無関心でいたわけではありませんが、仕事に家事、育児、介護と目の前の役割に「忙しいつもり」に浸って過ごして来た私は、初めてボランティア活動に参加したのが50代に入ってからの遅いデビューです。

契機となったのが東日本大震災です。壊滅的な状況をテレビの映像で見た同じ目が震災前と変わらぬ風景を見ているのが、どうにも座りが悪くて、何とかしたいとの思いで被災地支援活動に参加しました。初めは少し意気込んで被災地に向かいました。しかし、実際にはささやかなことしかできません。何度かの活動を通じて気付いたのは、その活動に費やした時間やお金も含めた心に見合うだけの報酬が心に帰ってきていることです。

新宿夏祭りでは、「今まで見ていなかった視界が開けた感じ」を体験させていただきました。ときどき通勤で見かける女性は急な雨でテントに近づいて来てもテントの中には入ろうとしません。「お入りになったら?」と声をかけたら、テントの中と外の境界のところに遠慮がちに入りました。多分それがその女性の社会との距離感なのではと思いました。軽い知的障害がありそうな若者も寄ってくれました。その方の立ち居振る舞いには、人を不快にさせたことが無いのではないかと思うくらい安定した肯定感が感じられ、お手本を見つけた思いでした。丁寧に作られた手作りストラップをプレゼントしてくださった方もいらっしゃいました。前々から準備されていたのでしょう。この日の出会いで、「ホームレスの人」と一括りにしていた自分に気づかされました。

私が歯科相談として口の中を見せていただいた方がたは、予想に反して悪くない口腔衛生状態でした。おそらく日頃から口の事を気に掛けている方や、見せてもいいよという方が歯科相談に寄られたのでしょう。被災地支援に参加した時に拝見した方々には、どこから手をつけたらいいのか悩む方もいましたが、新宿で拝見した方々は、はシンプルに問題改善策を伝えることが出来るくらいでした。

新宿夏祭りでの歯科相談は、埒の明かない話を長々と聞くこともある日頃の相談業務に比べると、スムースに流れていきました。まるで、話すべきことと話しても仕方のないことの整理が、既に出来ているかのようでした。

若い人が、肩肘張らずに溶け込んで参加しているのも感動しました。これからこの国で人々の幸福をどう築いていくのか、政治を見ても役所の財政や住民サービスのやり方を見ても鬱的な気持ちになりがちな私ですが、若い方が答えに向かっているなと頼もしく感じました。

新宿夏祭りで頂いた「報酬」は、今後の人生をしっかりと生きていくために使わせていただきたいと思います。
20138月)